休日。夕方、涼しくなってきた頃。
目当ての映画が上映されるので、シアターキノへ。
(シアターキノでの上映時間情報はこちら。)
今回観てきた映画は「HONEY BOY(ハニーボーイ)」。
公式ホームページはこちら
あらすじ
子役として活躍する少年と、その父(無職)。
父親がまあ色んな意味で残念な感じで、少年は色々な葛藤を抱えながら大人になっていく。が、
大人になった少年もなんだかんだ酒に溺れて精神的にまいってしまい、治療施設でリハビリ。
一体何がこんなにも自分の心をザワつかせるのか、、その要因は父と過ごした過去の日々に散りばめられていました。
更生するために父との思い出を振り返りながら、自身のトラウマを克服していこうとするお話なのです。
今回は
- 息子役をノア・ジュプが演じている!
- 予告映像の雰囲気がよさげ!
という理由だけで観に行くことに。
その他の前情報は、あまり詮索しない状態で観ました。
世界観が美しい、と思ったら監督が女性だった。
カット割りがあまり説明的ではないなと感じました。(良い意味だよ)
映像や、過去と現在の対比描写で伝えてくる感じです。個人的にけっこう好きでした。
水面や夕方の景色が映る描写が多かったり、少年時代と大人になってからの自分がリンクするシーンもあり、映像がとても繊細で工夫されていて、なおかつ綺麗でした。
ので、観ていて”監督”の存在を感じるというか…「監督どんな人だろ?」と思わせるような。
家に帰って調べてみると、監督が女性(アルマ・ハレル)であることが分かり腑に落ちました。
父親役シャイア・ラブーフの好演について。
個人的に、この映画の一番のみどころです。
父親がすごいウザくて、嫌い!!笑笑
前科者で職にもつかず、アル中を治療中。なのにあれこれ詭弁をたてて好き放題。モーテル暮らしで大成とはほど遠い現実のくせに、自慢げに前職であった道化師について息子に語る時もあれば、自分の考えにそぐわない事があればすぐに怒鳴り散らすこの問題ダッド。
とにかく観ていて思わず眉間にしわが寄るような演じっぷりでした。
しょっぱい現状に反して、何故か謎の希望を少し抱いている目をしてるんですよ。このダッド。なんて言ったらいいんでしょ、とにかく妙に現実的。
とても演じているとは思えなくて、純粋に作中の父親に対し不快感。
この人凄くね??とおもったらなんとこの役者さん(シャイア・ラブーフ)が脚本を書いており、自身の少年時代が基になっているのだそう。ワオ!
トラウマの原因となっている父親を、自分が演じるって凄い事ですよね。
シャイア・ラブーフは実際に精神的なリハビリも行っていたそうで、トラウマを克服する課程で、葛藤した父親との過去をそのまんま作品にしてしまったみたいです。
いや~好演だったなあ。
肉親への愛は複雑だったりもする…
むかついて憎いけど、肉親だから許したいし愛したい、というようなマーブル感情。
分かるような気がしました。
バイクで一緒に帰った日々や、家でトランプゲームをしたり、演技に口出しされたり、当たり前すぎて薄れがちな思い出だけど、父親が自分の側にいてくれた事を思い出しつつも、やはり嫌だったことも色濃く心に残っていて、
一色単にかたづけてしまうにはとても難しい感情。
少なからず息子に寄生していた事実も否めないダメ親父。だけどお金ほしさに息子を役者として働かせていただけではない事だけは本当。お互いに愛はあったが、苛立ちや憎しみもあった。そこんとこの、ノア・ジュプが演じる少年の葛藤し悶々とする演技は確かにとても良かったです。あと横顔がまあーーほんとに綺麗。
ストーリーの批評について個人的に思うこと
全体のストーリーについては、あまり広がりが無かったと言う声も耳に(正確には目に)しますが、
例えば、
実はダメ親父だと思っていた父親が、陰ではめちゃくちゃ息子のために何かしら努力していたとか、のちに息子宛の手紙が見つかって壮大な愛を知る…的な?
私は興ざめですね。何でもドラマッチックであれば良いってもんではない。
これはこれで、より日常にありふれた些細過ぎるくらいの愛が浮き彫りになって良かったんじゃね?
とか個人的には思っている…。
さいごに
雰囲気的にすてきな世界観でしたし、ノア・ジュプの横顔と喫煙シーンを拝むだけに観るのも全然アリ。でも一番は、父親役のシャイア・ラブーフに少し寄り添って観て欲しいかもと思っています。
現実に、私はトラウマを完全に消し去る事は無理だと思っていて、吐き出して形にすることで少しでもシャイア・ラブーフの心が癒えていたのなら良いなあ、と思いますよ…。
”honey boy”って良い言葉ですね。とりあえず帰って愛犬に呼びかけてみた。
おまけ
ステッカー貰えました。
貼るところは特にないけど、ちょっと得した気分です。